外壁や屋根の塗り替え工事で一番心配なのは「お金のこと」ですよね。
実際に頼むといくらになるのか検討もつかないし、そもそもどのようにして工事費用が決まっているのかさっぱり分からない。
よく「外壁塗装の相場は100万円」って聞くけど、何坪の相場?
とにかく外壁塗装は不安だらけ。
そんな方のために、今回は「延坪50坪の相場」について、元塗装職人で外壁アドバイザーの資格を持つ私、尾崎(@ozaki_gaiheki)が詳しく解説したいと思います。
塗装業者にアンケートをとって導き出した費用相場から、外壁塗装工事の概算見積もりが簡単にできる計算式もご紹介します。
外壁塗装は建坪ではなく延坪で計算する
相場の話をする前に、まずは勘違いしがちな「坪数」に関する解説からです。
業者に問い合わせた際に「ご自宅の延坪は何坪ですか?」と聞かれて「建坪」を伝えてしまっているお客様が稀にいます。
「延坪」と「建坪」で少々紛らわしいですが、外壁塗装で見積もりで用いるのは延坪(=延床面積)です。
- 延坪…建物の延床面積(1階+2階の総床面積)
- 建坪…建築物が立っている土地の面積
つまり、延坪が50坪の2階建であれば、建坪は25坪ほどになるでしょう。
逆に、建坪が50坪で2階建であれば、延坪は100坪ほど。100坪なんて大豪邸ですからね…。
相場を調べる際に「延坪」と「建坪」を勘違いすると、全く異なる金額が出るので注意が必要です。
では本題の「外壁塗装50坪の相場」について詳しく解説していきます。
外壁塗装50坪の費用相場は約140万円
以前、建築雑誌の取材で塗装業者34社を対象に行ったアンケートでは、外壁塗装50坪の費用相場は約140万円という結果になりました。
最も安く請け負った業者で90万円、一番高い見積もりだった業者は190万円と、業者によっては100万円以上の開きがありました。
おそらく、選んだ塗料(グレード)の違いによる金額の差だと思われます。
グレード | 耐久年数 | 単価(㎡) |
---|---|---|
アクリル塗料 | 5年 | 1400円 |
ウレタン塗料 | 10年 | 2000円 |
シリコン塗料 | 10~15年 | 2500円 |
ラジカル制御形塗料 | 12~15年 | 3000円 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 4000円 |
光触媒塗料 | 15~20年 | 4500円 |
無機塗料 | 20~25年 | 5000円 |
アクリル塗料は最も安価な塗料ですが、耐用年数が短いため、次の塗り替え時期が早いというデメリットもあります。
一方の光触媒塗料や無機塗料は単価がアクリル塗料の3倍以上ですが、耐用年数が長いため、長い目で考えるとお得になる場合も。
このように、同じ50坪でも使用する塗料によっては見積もり金額が全く異なる場合もあります。
ただ、ほとんどの外壁塗装ではコストパフォーマンスに優れたシリコン塗料が使われています。
ですので、本記事ではシリコン塗料を使った工事を対象とし、その結果が「50坪で約140万円」となりました。
外壁塗装の施工事例(50坪台)
続いて、延坪50坪台の外壁塗装施工事例をいくつかご紹介します。エリアや築年数、外壁材などの違いも参考にしてみて下さい。
外壁塗装費用:120万円(埼玉県 戸建 50坪)
住所 | 埼玉県川口市大字安行 |
---|---|
築年数 | 築10年 |
外壁面積 | 190.00㎡ |
外壁材 | 窯業系サイディング |
塗料グレード | シリコン樹脂塗料(油性・1液) |
その他 | コーキング打ち直し、下地補修2カ所 |
工期 | 3週間 |
外壁塗装費用:145万円(神奈川県 戸建 55坪)
住所 | 神奈川県藤沢市辻堂 |
---|---|
築年数 | 築12年 |
外壁面積 | 220.00㎡ |
外壁材 | 窯業系サイディング |
塗料グレード | フッ素樹脂塗料(油性・1液) |
その他 | コーキング打ち直し |
工期 | 2週間 |
外壁塗装費用:170万円(東京都 戸建 58坪)
住所 | 東京都江戸川区北小岩 |
---|---|
築年数 | 築11年 |
外壁面積 | 225.00㎡ |
外壁材 | 窯業系サイディング |
塗料グレード | シリコン樹脂塗料(油性・1液) |
その他 | コーキング打ち直し、屋根塗装(面積61㎡) |
工期 | 3週間 |
外壁塗装は色選びで費用が高くなる
使用する塗料(グレード)の違い以外にも、相場よりも安くなったり、高くなったりする場合があります。その一例が色です。
新築時と同じ色にしてみたり、雰囲気をガラリと変えてみたりと、外壁の色選びは外壁塗装の醍醐味。お客様の意見が目に見えて反映される、唯一の楽しみかもしれません。

メインはこの色、幕板はこの色、雨戸はこの色で、軒天井はこの色、雨樋はこの色にしよう!
イメージを膨らませながら色選びをしている姿は、実に微笑ましい光景です。しかし、塗装業者は心の中ではこのように思っています。

オシャレですね〜(そんなに色使ったら高くなっちゃうよ…)
ついついこだわりを詰め込みすぎて、使用する色の数が増えた…つまり、使用する塗料の種類が増えると材料費も膨らんでしまう。
これが意外と見落としがちなミスです。
あとは、珍しい色を選ぶ際も注意した方がいいでしょう。
塗料メーカーが取り扱っていない色に関しては、数種類の塗料を混ぜて特定色を作り出す「調色」という作業が必要になります。
調色には技術と経験が求められるため、誰でも出来る訳じゃありません。
そのため、外国人実習生や若い職人を使って、人件費のコストカットをしている業者にとっては苦しい要望。調色のためにベテラン職人を日雇いするケースも実際にあります。
見積書に「調色手数料」なんて記載する業者は聞いたことありませんが、ベテラン職人を雇った人件費分だけ、見積もり費用が高くなってしまうことも十分に考えられます。
ですので、外壁塗装を安く済ませたいなら、こだわりを捨ててシンプルな色を選ぶこともポイントとなります。
何階建てかによって異なる塗装費用
外壁塗装は壁の面積に比例して価格が高くなるため、同じ延坪50坪でも「平家」「2階建」「3階建」では塗装費用が異なります。
階層 | 坪数 | 外壁面積の目安 |
---|---|---|
平家 | 50坪 | 160㎡ |
2階建 | 50坪 | 198㎡ |
3階建 | 50坪 | 235㎡ |
外壁塗装工事の9割以上が2階建になるため、本記事の相場も2階建で算出しています。
そのため、2階建より外壁面積が狭い平屋(1階建)なら2割ほど安く、3階建なら1.2倍ほど相場が高くなります。
ちなみに屋根塗装に関してはその逆。延坪=建坪の平屋(1階建)の屋根面積が最も広く、3階建の屋根面積が最も狭くなります。

平屋の外壁塗装は足場が要らないので、かなり安いですよ
外壁の劣化状態で費用は異なる
新築から20年以上経って、今回、はじめて外壁塗装を依頼する方も多いはず。
そういった方は、まず外壁や屋根に「剥がれ」や「ひび割れ」といった破損箇所がないか確認して下さい。
もし破損している箇所がある場合は、補修工事が必要になり、相場よりも若干高額になるかもしれません。
外壁塗装は下地が一番大事です。仕上がりを良くするためにも、まずは破損箇所の修復が必要です。

補修工事をしないで塗装したらどうなるの?

破損個所から塗装の色あせが広がったり、塗膜が剥がれたりします
塗装直後はキレイに見えても、破損個所がそのままの状態だと、そこから色あせが広がっていき、やがて塗膜の剥がれに繋がります。
さらに放っておいた「剥がれ」や「ひび割れ」が悪化すると、最悪の場合、雨漏りの原因に。
塗装よりも破損個所の補修工事が最優先です。外壁塗装や屋根塗装を業者にお願いする際は、ついでに破損個所も見てもらいましょう。
地域環境で外壁の劣化状況は異なる
外壁塗装や屋根塗装は、地域環境によって工事内容を検討すると良いでしょう。
例えば、海沿いのエリア。潮風による塩害は、建物にとっても相当なダメージとなります。
外壁材や屋根材は塩害を受けやすいため、定期的に塗装をして、腐食から保護することをおすすめします。

画像:街の外壁塗装やさん
外壁に付着したコケやカビは湿気が原因。隣の建物との距離が数センチしか空いていない市街地では、常に湿気が溜まりやすいく、外壁が汚れやすい環境となっています。
また、幹線道路や高速道路といった車の交通量が多い道沿いは、排気ガスによる黒いスス汚れが目立ちます。
こうした汚れは外壁の劣化原因となります。汚れを綺麗に落とすバイオ高圧洗浄や、汚れがつきにくい特殊塗料なども有効的です。

地域環境に適した塗装工事を検討しましょう
塗装業者に直接依頼が地域最安値
大手リフォーム会社やホームセンターでも、外壁塗装工事を行なっています。有名な企業だし安心できるという理由から、お願いする方も多いことでしょう。
しかし、実際のところは工事の全てを下請け業者に委託しているってご存知でしたか?
大手リフォーム会社やホームセンターが行うのは窓口業務だけ。お客様の要望を聞いて、あとは塗装業者に丸投げです。
それでもって、仲介マージンが発生するため、塗装業者に直接依頼するよりも料金は高くなってしまいます。
マージンの分、地域相場より安くなることは絶対にありえないので、外壁塗装を行う際は必ず塗装業者に直接依頼しましょう。
50坪の外壁塗装費用が分かる簡単な計算式
次は計算式を使って、外壁塗装費用を調べていく方法です。こちら、塗装業者が概算見積もりを出す際に使っている計算式になります。
計算式といっても難しいことはありません。数字を当てはめながら電卓を打つだけ。とても簡単です。
この計算式を使えば、51坪、52坪、53坪…といった、より細かい条件で概算見積もりを計算することができます。
外壁面積を求める
まずは外壁面積を求める計算です。計算式は以下になります。
※3.3=1坪が3.3㎡だから
※1.2=外壁塗装工事の係数が1.1~1.3のため平均で1.2を使用
建物の延坪が50坪ですと、外壁面積は「198㎡」となります。同様に51〜59坪の外壁面積を計算した結果が以下。
坪数 | 外壁面積 |
---|---|
50坪 | 198㎡ |
51坪 | 201.96㎡ |
52坪 | 205.92㎡ |
53坪 | 209.88㎡ |
54坪 | 213.84㎡ |
55坪 | 217.8㎡ |
56坪 | 221.76㎡ |
57坪 | 225.72㎡ |
58坪 | 229.68㎡ |
59坪 | 233.64㎡ |
足場面積を求める
次に足場面積。どれくらいの規模の足場が必要になるか、目安にするための計算式です。足場面積は外壁面積から割り出すことができます。
※1.2=足場面積の係数です
以上の計算式から、延坪が50坪の建物の足場面積は「237.6㎡」となります。同様に51〜59坪の足場面積を計算した結果が以下。
坪数 | 足場面積 |
---|---|
50坪 | 237.6㎡ |
51坪 | 242.352㎡ |
52坪 | 247.104㎡ |
53坪 | 251.856㎡ |
54坪 | 256.608㎡ |
55坪 | 261.36㎡ |
56坪 | 266.112㎡ |
57坪 | 270.864㎡ |
58坪 | 275.616㎡ |
59坪 | 280.368㎡ |
単価表に当てはめる
計算式によって外壁面積と足場面積の目安が分かりました。そしたら、最後は単価表を参考に概算見積もりを作成してみましょう。
以下の単価表は、過去に私が取材した塗装業者34社の平均値を参考に作成しました。
項目 | 単価(㎡) | 費用 |
---|---|---|
足場 | 600円 | 142,560円 |
メッシュシート(飛散防止) | 100円 | 19,800円 |
高圧洗浄 | 200円 | 39,600円 |
養生 | 200円 | 39,600円 |
下塗り(シーラー) | 800円 | 158,400円 |
中塗り(シリコン塗料) | 2,500円 | 495,000円 |
上塗り(シリコン塗料) | 2,500円 | 495,000円 |
合計 | 1,389,960円 |
一般的なシリコン塗料(2500円/㎡)を使った場合、延坪50坪の外壁塗装の概算見積もり費用は約139万円という結果になりました。
本記事の冒頭で述べた「外壁塗装50坪の費用相場は約140万円」とほぼ同額となりましたね。
同様にして、51〜59坪の場合の概算見積もり費用も計算してみました。
坪数 | 概算費用 |
---|---|
50坪 | 1,389,960円 |
51坪 | 1,417,759円 |
52坪 | 1,445,558円 |
53坪 | 1,473,357円 |
54坪 | 1,501,156円 |
55坪 | 1,528,956円 |
56坪 | 1,556,755円 |
57坪 | 1,584,554円 |
58坪 | 1,612,353円 |
59坪 | 1,640,152円 |
以上が50〜59坪の概算見積もり費用になります。
ご紹介した計算式は、塗装業者も概算見積もりで使用する計算式。この計算式さえ理解しておけば、少なくとも悪質業者に騙されることはないでしょう。
ただし、こちらは外壁塗装だけの費用計算になります。必要に応じてコーキング打ち替え、付帯塗装、下地補修といった費用が別途追加となり、さらに高額になる場合も。
逆に、割引キャンペーンの適用や値引き交渉で相場よりも安くなるケースもあるので、正確な費用が知りたいという方は、業者に見積もりを依頼したほうが手っ取り早いでしょう。
塗装業者に見積もってもらおう
知りたかった外壁塗装の相場に関しては、今回ご紹介した内容で十分にご理解できたかと思います。
そして、次にやるべきことは実際に見積もりを取ってみること。
塗装業者に問い合わせて、我が家の外壁塗装はいくらになるかハッキリさせましょう!

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