我が家の外壁を塗りなおす際、やっぱり気になるのがお金のこと。実際にいくら掛かるのか?どれくらいが相場なのか?安くない分、慎重になりますよね。
外壁塗装の工事費用は100万円かかると言われていますが、これはあくまで相場の話。エリアや塗料の種類、工事を行う季節でも相場は変化します。
特に建物の大きさによって外壁塗装の工事費用が決まると言っても過言ではありません。
そこで今回は本記事のテーマでもある「外壁塗装で60坪の相場」について、元外壁塗装職人で外壁アドバイザーの資格を持つ私、尾崎(@ozaki_gaiheki)が詳しく解説したいと思います。
延坪ごとの相場をしっかりと理解してから、業者に見積もりを取るようにしましょう。
外壁塗装は建坪ではなく延坪(延べ床面積)
外壁塗装60坪の相場の話をする前に、ちょっとだけアドバイス。
よく、建坪で見積もりを依頼するお客様がいるのですが、外壁塗装では延坪(=延床面積)で見積もりを作成しています。

- 延坪…建物の床面積(1階+2階)
- 建坪…建築物が立っている土地の面積
つまり、延坪が60坪で2階建であれば建坪は30坪ほど、建坪が60坪で2階建であれば延坪は120坪ほどになるかと思います。延坪120坪なんて大豪邸ですよね。
正確な見積もりは現地調査で決まるので、建坪か延坪かはさほど重要ではありませんが、この違いを知っておいて損はないはず。
では「外壁塗装60坪の相場」を見ていきましょう。
外壁塗装60坪の費用相場は約175万円
以前、雑誌の取材で塗装業者34社を対象に行ったアンケートでは、外壁塗装60坪の費用相場は約175万円でした。

一番安くて120万円ほど、一番高い工事だと220万円。金額にかなりの開きがありますが、こちらは使用する塗料(グレード)の違いです。
グレード | 耐久年数 | 単価(㎡) |
---|---|---|
アクリル塗料 | 5年 | 1400円 |
ウレタン塗料 | 10年 | 2000円 |
シリコン塗料 | 10~15年 | 2500円 |
ラジカル制御形塗料 | 12~15年 | 3000円 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 4000円 |
光触媒塗料 | 15~20年 | 4500円 |
無機塗料 | 20~25年 | 5000円 |
最も安いアクリル塗料は耐久年数が短く、せっかく塗ってもすぐに劣化する可能性があります。
高価な無機塗料や光触媒塗料は耐久年数が長いため、コストが掛かっている分、塗膜によるほどが長期間続きます。
つまり、塗料の単価の違いは耐久性の違いですね。
ただ、ほとんどの一般住宅ではシリコン塗料が使われており、アンケート回答で「60坪+シリコン塗料」だけを統計したところ、費用相場は約175万円となりました。
ただし、175万円というのはあくまで相場。条件次第では、相場よりも安くなったり、高くなったりもします。
では、どういった条件で価格が上下するのでしょうか?その理由を解説していきます。
外壁の色で費用は異なる
外壁塗装工事で、お客様が一番こだわるのが色です。
新築時と同じ色を選んだり、逆にガラリと変えてみたりと、外壁塗装で一番楽しい瞬間かもしれません。

メインはこの色、1階はこれで2階はこれ、幕板はこの色、雨戸はこの色で、軒天井はこの色、雨樋はこの色にしよう!
ご夫婦で楽しそうに色決めしている姿は実に微笑ましいのですが、塗装業者は心の中ではこう思っているんです。

ステキですね〜(おいおいおい、そんなに色使ったら高くなっちゃうよ…)
ついついイメージが膨らみすぎて、様々な塗料を使うことになれば、それだけ塗装費用は高くなります。
つまり「色の数=塗料の数」となりますので、使う塗料が増えればかかる材料コストも増えるんです。
あとは「薄緑」とか「群青色」といった、ちょっと変わった色も要注意です。
製品として存在しない色を塗る場合、数種類の塗料を混ぜて希望の色を作り出す「調色」という作業が必要になります。
調色は技術と経験が求められるため、ある意味、職人さんの腕の見せ所ですが、やらずに済むならそれに越したことのない作業。つまり面倒なんですね。
「調色手数料」なんて見積書に書く業者は聞いたことありませんが、見積もり欄の「その他諸費用」に調色手間賃を付け加えられている場合も。
強いこだわりがないなら、出来るだけシンプルな色にしましょう。

建物の階層によって足場費用が異なる
外壁面積は平屋でも2階建でも3階建でも、延床面積に応じて一定です。しかし、注意したいのが足場面積。同じ延坪20坪でも、平屋、2階建、3階建では足場費用が異なります。
階層 | 延床面積 | 外壁面積の目安 | 足場面積の目安 |
---|---|---|---|
平屋 | 60坪(198㎡) | 237.6㎡ | 356.4㎡ |
2階建 | 60坪(198㎡) | 237.6㎡ | 396.0㎡ |
3階建 | 60坪(198㎡) | 237.6㎡ | 554.4㎡ |
一般的な相場は2階建を想定して算出されていますが、平屋や3階建だと微妙に金額が異なるので注意しましょう。

ちなみに、同じ延坪60坪でも、平屋(1階建)は2階建より建坪が広がり、それに伴って屋根面積が広くなるので、屋根の塗装費用は高くなりますよ。
外壁の劣化状態で費用は異なる

「外壁の塗り替え工事なんて、新築を建てたときから一度もやったことない」
何も珍しい話じゃありません。これまで多くのお客様を見てきましたが、定期的に外壁塗装を行なっている方が珍しいですから。

外壁塗装の必要性が浸透したのも、ここ10年ですからね
そんな、長年放置してきたお家の外壁を塗り替える際は「塗装剥がれ」や「ひび割れ」といった劣化症状がないか確認してください。
その場合補修工事が必要になるので、相場よりも高くなってしまうことがあります。
外壁塗装は下地が肝心。まずは「塗装剥がれ」や「ひび割れ」を直してからでないと、その後の塗装の仕上がりが大幅に悪くなります。
もし補修工事(下地調整)を行わずに塗装したらどうなるか?
数日間はキレイに見えても、数ヶ月後に塗装が剥がれたり、ひび割れが酷くなります。せっかく166万円払ったのに塗装前と同じ状態に。大損です。

古いお家は、まず補修工事を!外壁塗装はその後!
周辺環境で外壁塗装の費用は異なる
建物がどういった場所に建っているかでも、外壁塗装の費用は異なります。
例えば、海が近い場所。海辺のお家は憧れますが、潮風による塩害は悩みのタネ。
コンクリートや窯業系サイディングといった外壁材は塩害に弱く、内地に比べて劣化スピードも早い。そのため、劣化状況によっては多少の補修工事が必要になる場合もあります。

建物が密集している市街地は、空気の通りが悪いため外壁が汚れやすい環境です。
幹線道路や高速道路沿いは、車の排気ガスによるスス汚れが目立ちます。住宅街は建物同士が密集しており、風通しが悪いせいで苔やカビが外壁にビッシリ。

地域ごとの天候の特性も外壁塗装工事に影響します。
雨量が多いエリア、台風上陸確率が高いエリア、降雪エリアは、天候によって外壁塗装工事を行える時期が限られています。
工事依頼が集中するため、タイミングよっては費用が異なる場合もあります。

外壁塗装の相場はエリアも関係している!
下請けを使う業者のマージンに注意
大手リフォーム店舗やホームセンターの外壁塗装は、窓口業務だけ行なって、工事は塗装業者に業務委託しています。つまり、下請け業者が存在します。
この場合、大手リフォーム店舗やホームセンターの利益、マージンが上乗せされるため、塗装業者に直接頼むよりも高額になります。

マージンがある分、相場より安くなることはないので、外壁塗装を行う際は必ず塗装業者に直接依頼しましょう。
60坪の外壁塗装費用が分かる簡単な計算式
次は計算式を参考に外壁塗装費用を調べていく方法です。実際に塗装業者が概算見積もりで使用している計算式です。
計算式といっても難しいことはありません。数字を当てはめながら電卓を打つだけ。簡単な計算です。
「60坪」で相場を調べたけど、実際は61坪だったり、62坪だという方は、さらに詳しい相場を知ることができますよ。
外壁面積を求める
まずは外壁面積を求める計算から。計算式は以下になります。
外壁面積 = 坪数 × 3.3 × 1.2
※3.3=1坪が3.3㎡
※1.2=外壁塗装工事の係数が1.1~1.3のため平均で1.2を使用
ですので、建物の延坪が60坪の場合だと、外壁面積は「237.6㎡」となります。
坪数 | 外壁面積 |
---|---|
60坪 | 237.6㎡ |
61坪 | 241.5㎡ |
62坪 | 245.5㎡ |
63坪 | 249.4㎡ |
64坪 | 253.4㎡ |
65坪 | 257.4㎡ |
66坪 | 261.3㎡ |
67坪 | 265.3㎡ |
68坪 | 269.2㎡ |
69坪 | 273.2㎡ |
足場面積を求める
次に足場面積。どれくらいの規模の足場が必要になるかを求める計算する式で、何階建かによって係数が異なるので注意して下さい。
平屋の足場面積 = 坪数 × 3.3 × 1.8
2階建の足場面積 = 坪数 × 3.3 × 2
3階建の足場面積 = 坪数 × 3.3 × 2.8
※3.3=1坪3.3㎡
※1.8、2、2.8という数字はそれぞれ足場面積の係数です
上記の計算によって延床面積60坪の建物の足場面積は平屋で「356.4㎡」、2階建で「396㎡」、3階建で「554.4㎡」となります。こちらも60坪台で一覧を表にまとめてみました。
坪数 | 足場面積(平屋) | 足場面積(2階) | 足場面積(3階) |
---|---|---|---|
60坪 | 356.4㎡ | 396㎡ | 554.4㎡ |
61坪 | 362.3㎡ | 402.6㎡ | 563.6㎡ |
62坪 | 368.3㎡ | 409.2㎡ | 572.9㎡ |
63坪 | 374.2㎡ | 415.8㎡ | 582.1㎡ |
64坪 | 380.2㎡ | 422.4㎡ | 591.4㎡ |
65坪 | 386.1㎡ | 429㎡ | 600.6㎡ |
66坪 | 392㎡ | 435.6㎡ | 609.8㎡ |
67坪 | 398㎡ | 442.2㎡ | 619.1㎡ |
68坪 | 403.9㎡ | 448.8㎡ | 628.3㎡ |
69坪 | 409.9㎡ | 455.4㎡ | 637.6㎡ |
単価表に当てはめる
外壁面積と足場面積が分かれば、最後は単価表に当てはめるだけ。単価表は過去に私が取材した塗装業者34社の平均値を参考に作成しました。以下は、延床面積60坪(2階建)の場合の概算見積表です。
項目 | 単価(㎡) | 費用 |
---|---|---|
足場 | 600円 | 237,600円 |
メッシュシート(飛散防止) | 100円 | 39,600円 |
高圧洗浄 | 200円 | 47,520円 |
養生 | 200円 | 47,520円 |
下塗り(シーラー) | 800円 | 190,080円 |
中塗り(シリコン塗料) | 2,500円 | 594,000円 |
上塗り(シリコン塗料) | 2,500円 | 594,000円 |
合計 | 1,750,320円 |
塗料グレードは一般的なシリコン塗料(2500円/㎡)を使った場合、延坪60坪の外壁塗装の概算費用は約175万円になります。
本記事の冒頭で述べた「外壁塗装60坪の費用相場は175万円」とほぼ同じになりましたね。
61〜69坪の場合の概算費用も計算してみました。
坪数 | 概算費用 |
---|---|
60坪 | 1,750,320円 |
61坪 | 1,779,492円 |
62坪 | 1,808,664円 |
63坪 | 1,837,836円 |
64坪 | 1,867,008円 |
65坪 | 1,896,180円 |
66坪 | 1,925,352円 |
67坪 | 1,954,524円 |
68坪 | 1,983,696円 |
69坪 | 2,012,868円 |
ここで注意して頂きたいことが、外壁塗装だけの概算費用だということ。必要に応じてコーキング打ち替え、付帯塗装、下地補修といった費用が追加となります。それがだいたい+25万円前後。
ご紹介した外壁塗装費用の計算式は、塗装業者も概算見積もりで使用する計算式です。この計算式さえ理解しておけば、少なくとも悪質業者に騙されることはないでしょう。
外壁塗装(60坪)の施工事例
最後に、延坪60坪台の外壁塗装施工事例をご紹介します。エリアや築年数、外壁材などの違いも参考にしてみて下さい。
外壁塗装費用:170万円(東京都 戸建 60坪)

住所 | 東京都杉並区上荻 |
---|---|
築年数 | 築19年 |
外壁面積 | 210㎡ |
外壁材 | 窯業系サイディング |
塗料グレード | シリコン塗料(水性) |
その他 | コーキング打ち直し、下地補修2カ所 |
工期 | 3週間 |
外壁塗装費用:196万円(埼玉県 戸建 65坪)

住所 | 埼玉県川越市霞ヶ関東 |
---|---|
築年数 | 築15年 |
外壁面積 | 225㎡ |
外壁材 | 窯業系サイディング |
塗料グレード | フッ素塗料(溶剤系2液型) |
その他 | コーキング打ち直し |
工期 | 2週間 |
外壁塗装費用:184万円(千葉県 戸建 62坪)

住所 | 千葉県松戸市常磐平 |
---|---|
築年数 | 築11年 |
外壁面積 | 205㎡ |
外壁材 | 窯業系サイディング |
塗料グレード | シリコン塗料(水性) |
その他 | コーキング打ち直し |
工期 | 3週間 |
相場を気にするより見積もりを取ろう
外壁塗装工事を検討しはじめると、皆さん、まずは相場を気にする方が多いんですよね。
でもやっぱり、相場は目安でしかなく、60坪だから175万円前後で出来るという確証はありません。
当たり前ですが、お家は一軒一軒違います。窓の位置も違えば、壁面積の大きさも違うし、足場だってどう組むかによって費用が異なりますから。
もし本気で外壁塗装を考えているなら、塗装業者に見積もりを作ってもらった方が確実です。
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住宅リフォームのなかでも、外壁塗装は値段が不明確な工事。
同じような建物の塗り替え工事でも、依頼する業者によっては50万円以上の差が出ることも。
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